自社の「強み」をお客様のベネフィットに置き換える

ステップ2.自社の「強み」をお客様のベネフィットに置き換える

第一回で、お客様の知りたい情報(3大欲求)は

①うちの同業他社はどうしているのか

②それをするとうちの会社は儲かるのか

③その情報を知っていると自分が会社から評価されるのか

だと書きました。

そして、ステップ1では、「①うちの同業他社はどうしているのか」の欲求を満たし、さらにお客様の声を通じて、お客様に「あなたから買う理由」を伝えることができる強力な5つの質問をお伝えしました。

ステップ2では、「②それをするとうちの会社は儲かるのか」を具体的にお客様に伝える方法をお伝えします。

お客様にとってのベネフィットは、「儲かる」ことです。

しかし、あなたの会社の商品・サービスを使うと「売上が●●万円アップします」と言える商品・サービスであればよいですが、大抵の場合は、「なぜ儲かるか」をお客様に納得していただくための証拠が必要になります。

あなたは、そんなこと今まで考えたことがない、何て言えばいいの?と思われましたか?

BtoBの場合、「なぜ儲かるか」を説明するのにとても便利な方法があります。
それは、「QCD」の改善を伝えるという方法です。

QCDは製造業の方には馴染みの言葉だと思います。

  • Quality:品質
  • Cost:コスト
  • Delivery:納期

の頭文字をとったものです。

他社と簡単に差別化できるマジックワードとは?

さて、QCDの改善をどうやってお客様に伝えるのか。

まず、ステップ1でお客様に聞いた5つの質問のうち、以下の3つの質問の回答を用意してください。

②商品・サービスを購入する前は、どんなことで悩んでいたか

③商品・サービスによって、悩みはどう解決したか

④その結果、どうなったか

上記の3つの回答から、あなたの商品・サービスがお客様のQCDの何をどのように改善しているのかを整理します。具体的には、以下のように考えます

Ⅰ.Quality:品質の向上

あなたの商品・サービスが、お客様の商品・サービスの「品質」にどのような貢献をしたのでしょうか?

例えば、

  • お客様の商品・サービス自体の品質を向上させた
  • お客様の取引先やお客様(最終消費者)からの信頼を向上させた
  • 社員の誰がやっても標準的な仕上がりになった

などです。

Ⅱ.Cost:コストの削減

あなたの商品・サービスによって、お客様のどのような「コスト」の削減に貢献できているのでしょうか?

例えば、

  • お客様自身で行うより安くできた
  • これまでの方法より安くできた
  • お客様の手間が減った

などです。

Ⅲ.Delivery:納期の短縮・安定供給

あなたの商品・サービスによって、お客様の商品・サービスの「納期短縮や安定供給」にどのように貢献できているでしょうか。

  • お客様が調達にかかる手間・時間が減った
  • お客様が今よりも早く最終消費者に届けられるようになった
  • お客様が最終消費者に安定して供給できるようになった

などです。

上記の例以外にもあなたの商品・サービスが、お客様のQCDの改善につながっていることは沢山あるはずです。

ぜひ、ご自身の商品・サービスが、お客様にどのような貢献をもたらしているのかを、実際の「お客様の声」から整理してみてください。その作業を通じて、あなたの商品・サービスの他社にない「強み」にあらためて気づくことでしょう。

その上で、お客様がQCDを改善することによって、お客様が得られる売上・利益の改善について考えてみてください。

例えば、

  • 顧客数が増える
  • 顧客単価が上がる
  • 購入頻度が増える
  • 物件費・人件費が下がる
  • 売上の機会損失がなくなる

などです。

売り手・買い手の関係から重要な相談相手に変わる勘所

このようにして、あなたの商品・サービスを使うと「なぜ儲かるか」の証拠が説明できると、単に、自社の会社や商品・サービスの説明をしている他社の営業マンと圧倒的に差別化することができます。

それだけではありません。お客様との関係が売り手・買い手から、重要な相談相手に変わります。なぜならば、「なぜ儲かるか」の証拠を説明することは、お客様の裏の欲求である「③その情報を知っていると自分が会社から評価されるのか」を満たすことにつながるからです。

あなたは、一体どういうこと?と思われましたか?

でも、考えてみてください。

もし、あなたが、なにかの商品・サービスを購入するとしたら、それが自社の何に役立つのか、それによって業務が改善されるのか、儲かるのか、ということを考えて、購入するか否かの判断をされているのではないでしょうか?
そして、もし、あなたの部下が、「その商品・サービスがあるとうちにとっていいことがあるの?儲かるの?」という質問に回答できなかったとしたら、購入判断ができないどころか、その部下の評価を下げてしまうかもしれません。

お客様はそもそも「何のためにその商品・サービスが必要なのか」ということを社内でちゃんと説明できなくてはいけません。それを、あなたが「専門家」として、お客様にしっかり伝えることで、お客様からも「専門家」として信頼され、頼りにされます。新しい商品・サービスを使うことによるQCDの改善とそれによる売上・利益の改善について提案することは、お客様の社内における購入の意思決定を進める上で、極めて重要なことなのです。

さて、ここまで、お客様の声を通して、お客様にあなたから買わなければならない理由を納得していただく方法について、手順を追って説明いたしました。

最終回は、これまでお話した内容を、お客様に提示するドアノックツール(提案資料)にどう記載するかについてお伝えいたします。

A41枚で簡単なストーリーに落とし込む方法です。

≪最終回【ステップ3.A41枚のストーリーに落とし込む】に続く≫

まとめ

  1. お客様にとってのベネフィットは、「儲かる」こと
  2. BtoBの場合、「なぜ儲かるか」を説明するのにとても便利な方法は、「QCD」の改善。具体的には、あなたの商品・サービスがお客様の以下に貢献するかと伝える
    ・品質の向上
    ・コストの削減
    ・納期短縮・安定供給
  3. QCDの改善によって、お客様が得られる売上・利益の改善を考える
  4. 「なぜ儲かるか」を説明することは、お客様の裏の欲求である「その情報を知っていると自分が会社から評価されるのか」を満たす
  5. 裏欲求を満たすことができると、お客様から重要な相談相手として頼られる存在になる