お客様の声をキラーコンテンツに変える

ステップ1「お客様の声」を自社の「強み」にかえる

前回、お客様の知りたい情報(3大欲求)の一つが、「うちの同業他社はどうしているのか」だと書きました。

他社と差別化できるドアノックツールを作るためには、まず、「お客様の声」を収集することから始めます。実は「お客様の声」には、自社の社員も気づいていなかった自社の「魅力」が沢山隠されています。非常に貴重な情報ソースです。

「お客様の声」は、コンタクトセンターやアンケートに寄せられる意見や、お客様に直接対応している営業マンからの報告などに含まれています。

しかし、残念ながら、多くの会社で、この「お客様の声」を効果的に活用できていません。多くの場合、アンケート等で集めた結果を集計し、社内に報告して終わっています。

「お客様の声」に耳を傾けて商品・サービスを改善しようという漫然とした思いで「お客様の声」を収集しているものの、具体的にどこにどういう形で使えばよいのか、よくわからないという中小企業からのご相談をよくいただきます。

中小企業の場合、「お客様の声」は、ドアノックツール(提案資料)やチラシ・DM・ホームページなどの広告媒体の制作目的に有効活用するのが最も効果的です。

そのためには、

  • 「誰に」
  • 「何を」

聞くのかが重要になります。

伝えるべき人に伝えるべきことを伝えていない事実

まず、「誰に」聞くのか。それは、あなたの商品・サービスを実際に使用している現場の人です。その中でも、あなたの商品・サービスの信奉者、直近で取引額や取引頻度の高いお客様に聞いてください。ここがとても重要です。

あなたの会社の現場担当者は、商品・サービスにこだわりを持って、利用者に支障が生じないように様々な配慮をしているはずです。そのことで、利用者からとても感謝されています。その感謝の声の中に、自社の本当の「魅力」や「強み」が存在します。

ところが、BtoBの場合、商品・サービスを実際に利用している人と、購入の意思決定者は違う人です。そして、ほとんどの場合、実際に利用している現場の声が、購入の意思決定者に届いていません。

例えば、あなたの会社の現場担当者が、お客様の業務が円滑に進むよう、あらかじめトラブルを予測して、それを未然に防ぐような配慮をしていたとしても、実際にトラブルが発生しなければ、上層部に報告はいきません。仮に多少のトラブルが発生しても、現場で問題なく解決できていれば、報告されません。

実は、商品・サービスを利用している現場の感謝の声が、購入の意思決定者に伝わっていないのです。

それは、あなたの会社においても同じことが言えます。あなたの会社の現場担当者が、陰でお客様を支えている行為を、経営者や幹部が知らないということが往々にしてあります。そして、現場担当者もまた、自分の行為を当たり前だと思っているので、そのことを特別誰かに話すことはありません。

これは、弊社のクライアント様で実際にあった話です。

現場の声の中には、他社にはない自社の「魅力」や唯一無二の「強み」が存在します。それにも関わらず、その「強み」を認識していない会社がとても多いのが現状です。

「お客様の声」集めで失敗する会社とは?

次に、その「強み」を把握するために、「何を」聞けばいいのでしょうか。

ありがちなパターンで、もっとも聞いてはいけない質問は、「お気づきの点を教えてください」「問題点・改善点をお書きください」「ご要望をお聞かせください」という類の質問です。

このように言われたら、善意のあなたは一生懸命、改善点を探すのではないでしょうか。

人は、何か聞かれた時、無意識に答えを探そうとします。問題点・改善点を聞かれれば、特に不満に思っていなくても、“あえて”あら探しをしようとします。“あえて”悪いところにお客様の目を向けさせる必要はないのです。

仮に、あなたが、このように“あえて”探してもらった改善点に対応したらどうなるでしょうか?あなたの商品・サービスの「魅力」や「強み」が薄れ、どこにでもある標準的な商品・サービスになってしまう危険性すらあるのです。

それでは、ドアノックツール(提案資料)に活用するための効果的な質問とは、どのようなものでしょうか。チラシ・DM・ホームページなどの広告媒体の制作に活用する場合も基本的には同じです。

「お客様の声」をキラーコンテンツに変える5つの質問

具体的に質問すべき項目は以下の5つです。

①誰がどこでどう使っているのか

②商品・サービスを購入する前は、どんなことで悩んでいたか

③商品・サービスによって、悩みはどう解決したか

④その結果、どうなったか

⑤もし、商品・サービスを購入していなければどうだったか

①誰がどこでどう使っているのか

「利用用途」に関する質問です。商品・サービスの機能や特徴などは、お客様が勝手に調べます。あなたの商品・サービスを未購入のお客様が知りたいのは、自社の業務に役立つかどうか、もっと言うと「この商品・サービスは自分のために作られたものなのか」ということです。すでに購入されたお客様が、どこでどう使っているかを知ることが、直接的な答えになります。

②商品・サービスを購入する前は、どんなことで悩んでいたか

お客様の「課題」に関する質問です。あなたの商品・サービスを購入するお客様が、そもそもどのような悩みをもったお客様なのかがわかれば、あなたの商品・サービスが、同じお悩みをもったお客様に役立つことが証明できます。

③商品・サービスによって、悩みはどう解決したか

「解決方法」に関する質問です。②のお客様のお悩みに対して、あなたの商品・サービスがどうやって解決したのか、要望にどう応えたのかということです。これが、お客様があなたの商品・サービスを買う理由になります。

④その結果、どうなったか。

「結果」に関する質問です。顧客の悩みを、あなたの商品・サービスが「ある方法で解決」しているので、お客様は、「ありがとう。おかげさまで~になりました」と感謝してくれています。その感謝の言葉をもらうことで、新規のお客様の背中を押すことができます。

⑤もし、商品・サービスを購入していなければどうだったか。

「買わないデメリット」に関する質問です。悩みを解決できないとしたら、どのような不都合があるのか、買わない理由をなくすことで、お客様の購入不安を払拭することができます。

このように、5つの質問によって、新規のお客様に、既存のお客様を通じて「あなたから買う理由」を伝えることができます。お客様が「あなたから買う理由」こそ、あなたの会社の唯一無二の「強み」なのです。

新規のお客様が知りたいと思っているこの5つの質問で集めたお客様の声を、業種や規模別に整理すれば、これだけで、チラシ・DM・HPのキラーコンテンツになります。

この5つの質問は、お客様に聞くだけで、HPや広告の反応率が変わるほど効果があります。売上を上げたいと思われるあなたは、すぐに実行してみてください。

さて、それだけ強力な質問ですが、新規開拓のドアノックツール(提案資料)にするためには、もう一工夫が必要です。他社である「お客様の声」を、自分事として、お客様ご自身のお悩みを、あなたに相談してもらうための仕掛けが必要です。

それが、ステップ2.自社の「強み」をお客様のベネフィットに置き換える、です。

第三回【ステップ2.自社の「強み」をお客様のベネフィットに置き換える】に続く≫

 まとめ

  1. 「お客様の声」には、自社の社員も気づいていなかった自社の「魅力」が沢山隠されている
  2. それを引き出すためには、「誰に」「何を」聞くのかが重要
  3. 聞く相手は、あなたの商品・サービスを実際に使用している現場の人
  4. 聞く内容は以下の5つの質問
    ①誰がどこでどう使っているのか
    ②商品・サービスを購入する前は、どんなことで悩んでいたか
    ③商品・サービスによって、悩みはどう解決したか
    ④その結果、どうなったか。
    ⑤もし、商品・サービスを購入していなければどうだったか。
  5. 上記の回答から新規開拓のドアノックツール(提案資料)を作るためには、「お客様の声」を、自分事として、あなたに相談してもらうための仕掛けが必要